南ア南部 前尾高山(2089m)、尾高山(2212m)、奥尾高山(2226m)、岩本山 (2269m) 2011年8月8日
所要時間 5:58 しらびそ峠--6:37 前尾高山--7:22 尾高山--7:56 奥尾高山--8:43 岩本山 9:15--9:51 奥尾高山--10:20 尾高山--10:54 前尾高山--11:17 しらびそ峠
概要
数年前?に新設された尾高山〜奥茶臼山間登山道を利用し、しらびそ峠から岩本山を往復。前尾高山より奥は深いシラビソ樹林が続く。数か所のみ展望地があるが、ほぼ展望なしの稜線。ただし今回はガスってどのみち見えなかった。
2010年7月下旬に日本山名事典の改訂版が発売された。新たに地形図に山名が記載された山や、そうでない山も追加されたはずであり、特に2000m以上の山についてはチェックの必要がある。8月頭に旧塩山市内の本屋で購入し、まずは全頁を眺めて2000m以上の山を確認すると、追加された山の中で未踏峰は熊穴沢ノ頭、奥尾高山、岩本山であった。熊穴沢ノ頭は甲斐駒西部の三ッ頭と鋸岳第2高点間のピークで、残り2つは尾高山〜奥茶臼山間に位置する。熊穴沢ノ頭はもう少し涼しくなってから行くとして、まずは奥尾高山、岩本山を目指すことにした。これは大気の状態が不安定で日中の早い時刻に雷雨がきそうで短時間で登れること、どうせガスの中で何も見えないと予想され、そんな中で森林限界を超えた展望のよい稜線に行くのはもったいない。その意味でこれら2山は適当と判断した。
日曜夕方に出発し、大渋滞の中央道上り線を尻眼に下り線をひた走り、飯田ICで降りて矢筈トンネル経由でしらびそ峠に到着。日曜深夜で他の車は皆無だった。さすが標高1800mを越えて涼しいというより寒いくらいで下界の熱波が嘘のようで快眠できた。
しらびそ峠駐車場 | 大沢岳へ通じる林道。ゲートは施錠されている |
しらびそ峠から見た南ア南部 |
翌朝、朝飯を食って出発。以前、大沢丸山や立俣山を目指したときに使った林道は今は峠で施錠されたゲートがあり、マイカーでは入れなくなっていた。大沢岳への登山道ははたして今でも使えるのだろうか。籠を使って沢を渡ったのが懐かしい。大沢岳への登山道は橋崩壊のため当面通行止めと書かれていたが、私が歩いた時は既に橋を使うコースは廃道化していたので案内標識が古すぎるな。
尾高山(奥茶臼山)登山口 | 所要時間 |
尾高山登山口の標識には奥茶臼山が追加され、ちゃんと登山道は維持されているようだ。まあ、この標高だと深いシラビソ樹林で籔は無いだろうけど。峠からは聖岳や兎岳などが見えるはずだが今は雲の中に隠れていた。
階段から始まる | 最初は唐松植林帯 |
高度を上げるとシラビソ樹林に変わる | 前尾高山 |
登山口から歩き始めてしばらくは唐松植林帯で、地面付近は背の低い笹で覆われている。少しだけ登山道にはみ出して靴を濡らすが、そんな部分は短い。高度を上げて前尾高山近くに達すると笹が消えて苔むしたシラビソ樹林に変わる。これこそ自然の南アらしい植生だ。なだらかなピークに出ると前尾高山で、広い山頂部で最高地点ははっきりしない。山頂標識がある付近を山頂としていいだろう。これより先は延々とシラビソ樹林が続く。
尾高山鞍部へ下る | 登りにかかる |
尾高山山頂 | 尾高山三角点。最高点にあるわけではない |
緩やかに下り、登りにかかってピークに到達するがここは山頂ではなく2121m峰だ。再び登りにかかり、登り切った狭いピークが尾高山山頂だ。最高点は小さな露岩で、その東側が広場になっていて休憩はそちらがいいだろう。少し南に下ったところが僅かに樹林が開けて展望が得られるようだが、今はガスがかかって何も見えない。ま、涼しくてそれはそれでいいけど。
東へ向かう | 標識あり |
樹林の隙間から見た奥尾高山 | きれいな登山道が続く |
この先の登山道のレベルがどんなものなのか、薄いのではないかと考えていたが、尾高山までの道より僅かに薄くなった程度であって良好な登山道が続いていた。この調子なら奥茶臼山まで特に迷うような個所もなく行けるのではなかろうか。ただ、周囲の光景は深いシラビソ樹林がずっと続き、ほとんど変化がないので面白みに欠けるし、周囲の風景から現在位置を把握することもできない。写真撮影するにもどこで撮影したのか判別は難しく、撮影時刻で判断するしかない。たま〜に苔むした露岩が登場するが、それをよじ登ったりするような場面は登場することはなく、歩きやすい広い尾根が続いた。
奥尾高山山頂 | 奥尾高山の布KUMO |
鞍部からまとまった登りをこなして到着しただらっとしたピークが奥尾高山だった。ここもシラビソ樹林に覆われ展望皆無。山頂標識が無いと、このピークを越えて大きく下ってから奥尾高山だったと分かることだろう。樹林で尾根の先の様子が見えないので、ここよりももっと高いピークがすぐ先にあるのかないのか分からないので、山頂であると判断するのは難しいのだ。まあ、今はGPSがあるので確認は可能であるが。意外にも布KUMOがぶら下がっていた。古びた様子から1年以上前に付けられたのは間違いない(DJF氏の記録によれば2010年6月には既に存在していた)。ということは、この頃には山名事典改定版にここが記載されることが決まっていたのだろう。
奥尾高山から東へ下る | 苔むしたシラビソ樹林が続く |
倒木は処理されている(全てではないが) | 岩本山山頂 |
岩本山への稜線も今までと変わりがなくシラビソの広い尾根が続く。鞍部から登りに変わると小ピークがいくつか登場し、もしかしたら岩本山か?と思わせるがどうも地図から想定されるピークよりも小さいし標識もない。やがて少しまとまった登りが終わって平坦なピークに到着すると岩本山の標識が登場。ここもシラビソ樹林に覆われて展望は皆無。布KUMOが無いかと周囲の木を探してみたが見当たらず。落ちてしまったのかもしれない。GPSの電源を入れて本当に岩本山か確認したところ、山頂は南西に約200mの表示。しかし今まで登りだったので、200m戻ったところはピークではない。今いるところが最高点だ。緯度経度のどちらかを入れ間違ったのだろう。たまにはそういうこともある。
ここまで緩やかな稜線が続き、約3時間歩いたが時間の長さの割には使った体力は少なかったし、汗もほとんどかかなかった。この調子なら奥茶臼山まで割と楽に行けるコースだろう。昔の青木林道経由よりもずっと合理的で、一般登山者でも簡単に登れる山に変わったなぁ。少々休憩してから帰路に就く。
帰りはガスの中 |
尾高山を越えて下りにかかると本日初めてのお客さんが登ってきた(私が岩本山に行っている間に尾高山往復の登山者がいたかもしれないが)。その後も2、3人とすれ違う。平日でもポツポツと登山者がいるようだ。しかしガスはますます濃くなってシラビソ樹林の中にも霧が漂う。涼しくていいけど。
登山口に到着して着替えていると、車やバイクが次々とやってきて意外と訪問者が多い。でもガスが流れて南アは見ることができず、今日の展望はこのままだろうな。